国立博物館の前を通ってずっと奥にある国立国会図書館国際子ども図書館はあまり知られていないのか、連れて行った友人は結構あちこち行っているのに初めてだと言っていましたが、もったいないことです。



 明治39年に帝国図書館として建てられたルネサンス様式の堂々たる西洋建築です。保存と再生を掲げ、2002年に安藤忠雄による補習復元が終了し現在に至っています。保存ということで、新しく設置されたエレベーターなどは外付けの箱型増築部分にあり、建物の外壁を間近で見ることができます。講演会などが開かれるホールも広々としていて、大階段部分も素晴らしいです。まるで外国に来ているような気分を存分に味わえるところが気に入っています。




 そして図書館ですから、もちろん本がありますが名称にあるように子どものための本を収集しています。さまざまな部屋があり、「児童書ギャラリー」は特別閲覧室だったのを再現し、明治から現代までの児童文学と絵本の流れを知ることができます。また、展示会も開かれ、今は「絵本に見るアートの100年―ダダからニュー・ペインティングまで」が2020年1月19日まで開催されていて、これが思ったより内容が濃かったです。こんなにも多くの画家が絵本に関わっていたとは知りませんでした。これは後期も行かなくては。
増築部分の廊下には椅子もありますし、1階にはカフェテリア、自由に飲み物を持ち込めるテラスまであります。


 さて、子ども図書館の手前にひっそりと建っている洋館は日本の近代洋画にとって大きな存在だった黒田清輝の遺作を展示する黒田記念館です。ほかの美術館と同様に月曜日が休館ですが、特別室だけは公開日が限定されています。なかなかタイミングが合わなかったのですが、先日やっと入ることができました。



 今まで入れなかったのには理由があります。まず常設展示のみなので告知ポスターはなく、重そうな黒い扉が空いていても自動扉が中を見えにくく、無料なので受付もなくて誰も入口にはいないので、入れるのかちょっと不安になるからです。建物自体も人を招き入れようという雰囲気ではない気がします。


 それを何とかクリアして入った特別室には、黒田清輝といえば思い浮かべる「湖畔」と私は初めて目にしたのですが、大作の「智・感・情」の3枚があって圧倒されました。建物天井が高く、点数は少ないですが訪れる人もわずかなので、ゆっくり鑑賞できました。次の特別室公開日は2020年1月2〜13日です。