もうコロナに奔走され、出かけていいのかどうかもわからない状況の中、毎年のように旅行を楽しんでいた仲間からの提案で、思い切って出かけた近場の日帰り観光が思いの外、人出も少なく晴天にも恵まれました。


 行き先は意外に都民でも行ったことがないと言う声が上がる葛飾・柴又。そう「寅さん」でお馴染みのエリアです。


 柴又駅を降りるとあの寅さんの銅像が広場の真ん中にあり、その先にはさくらの像もあります。


 そこからすぐ先に帝釈天の参道が始まります。浅草に比べてかなりコンパクトで、いかにも下町。


 参道は途中信号を待ったり、ちょっと斜めで狭い参道の両側の店を見ながら行くとどーんと重たげな門(二天門)が現れます。



 正面の本殿(帝釈堂)は瑞龍の松の枝がまるで見せまいとしているようです。


〝帝釈天の彫刻ギャラリー〟というのは近年保存のため本殿をガラスで囲って囲ったところで、奥で入場料を払っいます。まずは屋敷の廊下を進んで部屋を見ると和室にシャンデリアだったり、お寺なのに思ってもいない設えです。廊下から邃渓園をゆっくり眺めたり、庭を一周できる廊下から黒い鯉の多い池を望むことができます。常緑樹が多いなか紅葉はアクセントになっていました。こんなに広い庭があるのは知りませんでした。



 それから戻って、高架の渡り廊下を通ってお堂へ。一面の木彫は大正から昭和初期の10人の名人が彫ったそうで、よく見ると人物の顔など違いがあって面白いです。それにしても空想上の龍を見事に表現した技術には、ただただ驚かされました。


 彫刻に圧倒されてちょっと一休みにいいのが山本亭です。すぐ近くなのですが、私たちは住宅地の迷路に足を踏み入れてしまいました。そこへ現れた女子高生が学校帰りでカバンを抱えているのにこの辺りは複雑で口で説明するのは地元民でも難しいからと、ランチにオススメの店まで伝授してくれて、まるで地元の観光ガイドのように正門まで親切に案内してくれました。修学旅行も文化祭も体育祭もなくなってしまったという彼女にいいことがきっと訪れると願わずには要られません。



 山本亭の門には車夫が休憩できる空間があり、窓のステンドグラスが可愛らしかったです。座敷で抹茶セットをいただきながら、ここの庭を眺めるのも一興です。向かいにある小高い丘が2019年に新しくなった『寅さん記念館・山田洋次ミュージアム』で、昭和の世界にタイムスリップできます。



 帰りは参道のお店で草団子をお土産にするのが定番と思いますが、5時には閉めてしまう店も多いので要注意です。