またもステイホームを呼びかけられ、どんどん増える感染者。美術館はオープンしているところが多いですが、日時指定制やら、一定数超えたら入場制限するなど、美術館に行くのも躊躇われる日々。まだ、ふらっと足を運ぶのはなかなか難しいかもしれません。


 もちろん、海外の美術館なんて、いつになったら行けるのか。


 教科書でしか見たことのない画家たちの実物の作品を大人になって美術館で見るようになってから、本人の人生や生きた時代背景にも興味が湧きましたが、会場にある年表ではよくわからない時代背景など映画で補うという手があります。



 先日まで公開されていた『ルーブル美術館の夜―ダ・ヴィンチ没後500年展』はファンには嬉しい1本でした。昔の画家では作品を検証しながら、さまざまな視点からその人物像に迫るというかたちになってしまいますが、20世紀以降なら本人の写真や動画が出てくるドキュメンタリー映画があります。なかでもピカソとフリーダ・カーロは人気らしく、これまでも制作されていますが1月下旬からピカソ、フリーダ・カーロ、ダ・ヴィンチの新たな3作品が同時公開されます。



 2018年にミケランジェロ、モネ、ゴッホの3人の作品が公開されてから、3年ぶりに〝映画館の大画面で美術を楽しむ〟というコンセプトの「アート・オン・スクリーン」で、『天才画家ダ・ヴィンチのすべて』『ピカソがピカソになるまで』『フリーダ・カーロに魅せられて』の3本。いつか行く日の予習にもなりそうですし、観たことのある作品を別の角度から楽しむヒントがあるかもしれません。



 また2001年『カラヴァッジョ 光と影の巨匠—バロック絵画の先駆者たち』(東京都庭園美術館)で記録的な動員数になり、2016年に国立西洋美術館でも開催された人気のカラヴァッジョの作品が、2020年に日本とバチカンの教皇庁との交流100年目記念の『カラヴァッジョ展』として来るはずでしたが今年3月に延期され、ついに中止になりました。彼の最高傑作のひとつ『キリストの埋葬』が約30年ぶりに来日すると話題だったのですが、コロナウイルス感染拡大でバチカンからの作品輸送が困難になったそうです。世界中の作品が次々と日本にやってくるおかげで、遠くの国まで行かずに名作を鑑賞できていたのに、ついにコロナでアートも海を渡れなくなってしまう日が来ようとは本当に残念です。私はかなり型破りなデレク・ジャーマンの『カラヴァッジオ』(1986)で、彼を知って作品を観るようになりました。



 いつか実物が来るまで映画で鑑賞という楽しみ方はどうでしょう。