マンガがアートとして扱われるようになったことによるニュースが、パリで手塚治虫のアトムの原画が約3500万円で落札されたというものでしたが、2016年に『ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」』を森アーツセンターギャラリーで観たとき、すでにマンガは読み捨てる子どもの娯楽ではなくなったのだなとつくづく思いました。展示されていた16人中7人の日本人の作品は海外でも高く評価されいていて、逆輸入のようにここで知った作家もいました。浮世絵を日本人が見直したときのようにどうしても外の評価でやっと価値に気が付くということを繰り返しているかもしれません。
文豪の生原稿が発掘されるたびに貴重な資料として話題になるなか、マンガはそれ自体が唯一無二の作品であるにもかかわらず、作家が膨大な量を抱え込み、その価値を見出されることはまずなく、昔は読者プレゼントにされたりして散逸しているものも多かったと聞きます。今ではデジタルによる作品制作で生原稿を持たないマンガ家も増えていますが、手書き原稿は美しく保存していくべきものだと思います。
最近では竹宮惠子の〝原画’(ダッシュ)プロジェクト〟や矢口高雄の増田まんが美術館などで、これまで消耗品のような扱いだった原稿を保存・収集していこうという動きがあります。まだバラバラで模索中という気がするので、お蔵入りした国立メディア芸術総合センターが実現する日が来ることを願うばかりです。
さて、最近はギャラリーだけでなく、美術館などの公的な施設での原画展も増えてうれしいのですが、今やネットで検索しないとその情報は見逃しがちなのが困りものです。今開催中もしくはこれからので目についたのを上げておきます。気になる展示会はありますか?
『25周年記念 るろうに剣心展』(3/7まで)東京ドームシティ
『あしたのために あしたのジョー!展』(3/31まで)世田谷文学館
『田渕由美子展~1970’s『りぼん』おとめちっく♡メモリー~』(6/6まで。約1ヵ月ごとに展示替え)弥生美術館
『山下和美画業40周年記念原画展』(3/30~4/18)ヴァニラ画廊
『デビュー50周年記念諸星大二郎展 異界への扉』(8/7~10/11)三鷹市美術ギャラリー