コントグループ「ラーメンズ」だった片桐仁は今や俳優としてテレビで見ることが多いと思いますが、アーティストとしての一面も今では広く認識されているようです。それを知ったのは彼が出演していたドラマで、自分の作品を登場させていたからですが、そのユニークな作品が今東京ドームシティGallery AaMoで『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』で見ることができます。



 ドラマで披露していたスマホケースは、その過剰なフォルムのためかなり使いづらいと本人も言うほどですが、とにかくインパクトがあります。それを実際に観れると思って会場に足を運びましたが、彼の創作意欲に圧倒されました。作品はダジャレから始まるようですが、言葉を具現化するのはなかなか容易ではありません。立体の造形物の作成は美大出身の彼だからこそできることでしょうが、それでも大変だったようです。ただ本人もコメントしていますが、好きなことはやめないことが大切だと思いました。


 それにしてもよくこれだけ生み出したものだなと思う量です。鑑賞する側も元ネタをわかっていないと笑えないので、ちょっとこちらの知識を試されている気にもさせられます。〝虎穴に入らずんば食を得ず〟とか〝水犀色えんぴつ〟とか。クスッと笑えるものばかりですが、正直ちょっと気持ち悪いのが多かったです。


 その作品の中で、土偶をもじった〝ペットボ土偶〟などの一連の作品から、先日観た『縄文2021―東京に生きた縄文人―』(終了)の土器を連想しました。



 1万年もの長い間続いた世界的にも稀な時代に生きた人々はそのあとの弥生時代とはまったく違う価値観を持っていたようで、残された土器は日用品のはずなのに、どれも装飾が多過ぎます。その飾りのために使う粘土の量も多くなるし、何より厚みのせいで素焼きに失敗する確率が高かったのではないでしょうか。でもこの土器類は一部の地域だけの特殊な造形ではなく、日本のいろいろなところで発掘されています。彼らはこの形で何を表現していたのか見るたびに疑問が浮かびますが、わからないままただ見るだけで楽しいです。火焔土器ほどではないですが、何から着想したのだろうかと思う装飾をいろいろ見ることができました。内蔵されていた縄文人のDNAが片桐仁の中で発動して彼の創作意欲を刺激しているのかと妄想してしまいます。


 縄文の土器などは荒川ふるさと文化館、品川区立品川歴史館、新宿歴史博物館、世田谷区立郷土資料館、大田区立郷土博物館、青梅市郷土博物館、東京都埋蔵文化センターなどで常設展示しているので、お近くの歴史館でも楽しめると思います。