日本民藝館をご存じですか?名称のとおり、民芸品などの美術館です。少なくとも私はそう思っていました。
以前、駒沢界隈を友人と街歩きしていたときにたまたま通りかかって、ここがそうかと入ったことがあります。私設美術館だからなのか、当時公立美術館の話題の特別展と同じくらいの料金でした。建物もかなり凝っていてそれを含めて鑑賞できますが、展示数も思ったほどなくてちょっと高いなと感じ、ここには次来ることはないだろうなという考えがちょっとよぎりました。
そもそもここをつくった柳宗悦については、イギリスのアーツ・アンド・クラフト運動に倣って日本で〝民藝運動〟を展開させ、日本各地で作られている普段使いのさまざまな日用品に美を見出し、それらの中から選りすぐったものや、さらに素朴な民芸品を時代に受け入れられるかたちにして人々に披露した中心人物らしいという認識でした。なので、民芸品なのに結構高いのが多いなと思って、運動の内容をまったくわかっていませんでした。
今回大きな美術館での展示ということで民藝の成り立ちからわかるようなので、東京近代美術館で開催されている『柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年』(2/13まで)に行ってみました。そこで単なる焼物や竹籠などだけではなく、何としゃぶしゃぶ発祥や鳥取砂丘の景観保存、そして人々の生活や社会問題にまで彼らの運動は及んでいたと知り、その運動の広さや影響力に驚かされました。
鉄道の発達によって起こった観光ブームや戦中から戦後の時代にどう活動していったかなどを見ながら、同時にいろいろな角度から日本が変化していった様子も見ることができました。
今回は井浦新さんによる音声ガイド機を借りませんでしたが、文字解説も多かったのでとてもわかりやすく興味深く見ていたら、いつの間にか3時間も経っていました。
日時指定券優先ですが当日券もあります。平日なら問題なくすぐに入れると思いますが、土日は待たされるかもしれません。ここの1800円は見応えからしたら、十分その価値があると思います。