ここのところ火山のニュースが続いています。漁港に軽石が流れ着いて船に損傷があったり、噴煙で飛行機が飛ばなかったこともありました。いつか回り回って自分にも関わることがあるかもしれないのだと改めて思いました。


 さて、この火山の噴火といえばヴェスビオ火山。そうポンペイです。型取りされた人物の石膏像が思い浮かびます。それを今上野の国立博物館平成館で開催中の『ポンペイ展』(4/3まで)で観ることができます。




 丸ごと遺跡となって発掘された街ということで、タイムカプセルとも言われますが、2000年も前の人々の暮らしがわかるところが素晴らしいです。災害の跡地と考えるとちょっと複雑ではありますが。ところで、今回の展示で埋まったのはポンペイだけではないのを知りました。ポンペイはたまたま掘り出しやすかったので、早くから発掘されたようです。

 たくさんの展示品でフレスコ画も素晴らしいのですが、驚いたのはなんと言ってもモザイク画です。〝オプス・ウェルミクラトゥム〟という技法によるそのピースのサイズは2ミリ角くらいの極小で、まるで筆で描いたフレスコ画のように見えました。題材も神々や英雄だけではなく芸人や魚類・哺乳類に植物とさまざまです。フライヤーに使われている『辻音楽師』は50センチ四方ほどの画面で、仕上げるのにいったいどれくらいかかったのでしょう。これが紀元前1世紀(日本はやっと弥生時代頃)につくられたものとは。色数も多く、陰影がきちんと付けられていて、もう唸るしかないです。

 保存状態がよくないので実物は来ていませんが、教科書に載っていたアレキサンダー大王のモザイク画は実物大の写真で再現されています。なかでも馬たちの表情が人間以上の迫力で見応えがありました。

 またブロンズ製の小さな神の像も細工が見事でしたが、それよりも現代のものと言われてもおかしくないブロンズ製水道管にはもっと驚かされました。彫刻や絵画だけでなく、どんな邸宅だったか実感できる実寸大の展示や構造がわかる模型や実物大に再現された空間などいろんな角度からポンペイを見ることができ、ちょっと空間移動してポンペイにいる気分も体験できるのもおもしろかったです。

 ちょうどTV放映された映画『ポンペイ』(2014年)は、最新の発掘調査・研究に基づく人々の暮らしや火山噴火などについて紹介するドキュメンタリーの再現映像を見たあとだとずいぶん違っていたのがわかりましたが、娯楽大作としてはおもしろかったです。

 今は〝ソンマ・ヴェスヴィアーナ〟というところで日本のチームが中心になって調査中だそうで、少し写真展示がありました。ここも今後どんな姿を現してくれるのか気になります。