『○○美術館展』という展覧会は、そこの美術館の代表作と同年代の作品が並べられることがよくありますが、メインの画家以外ほとんど知らない人が多いということがよくあります。それはそれでこんなのもあったのか、結構この作品は好みだなという発見もありますが、フェルメールの話の時に、今日本でも1点観ることが出来ると紹介した『メトロポリタン美術館展』(5/30まで)は日本初公開46点と謳われるだけあって、初めてみる有名画家の作品が目白押しの展示なので、足を運んで損はないです。



 制作された時代順に構成されているので、絵画の変遷とともに歴史を知ることができて、なかなか面白い美術と歴史の授業という感じでした。何しろカラヴァッジョにエル・グレコ、ドガ、セザンヌにゴッホと誰でも聞いたことがある名前がずらりと並んでいて、こんな作品もあったのかというのがいいです。


 本場にはほとんど下調べせずに行ったため、エジプトものの展示室に圧倒され、なぜかなかなか出られない構造に翻弄された日本の鎧兜の並ぶ部屋とあると思っていたオランダ絵画全般が貸し出し中だったという思い出しかないので、こんなにいろんな画家の作品が1点づつくらいとは言え、これだけ一気に観ることができてよかったです。


 そしてもう一つ、東京都美術館で開催中の『スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち』(7/3まで)でも、西洋絵画史を知ることができる展示になっています。ただ、こちらは『メトロポリタン美術館展』と比較するとスケッチなども多いし、初めて目にする画家がほとんどのパターン。でもその一人ひとりの簡単な説明書きがありました。個人的にはレオナルド・ダ・ヴィンチの師匠アンドレア・デル・ヴェロッキオの作品(帰属ですが)と美術家列伝を書いたジョルジョ・ヴァザーリの作品を観ることができたのがよかったです。ちょっと驚いたのが、最初のコーナーに展示されていた『スコットランド国立美術館の内部』という作品なのですが、これが水彩だったことです。100年以上前なのにとてもきれいでしたし、実に細かい描写でした。英国では割と水彩画作品が多いという印象ですが、スコットランド人も好きなようです。



 こちらの展示もルネサンス、バロック、そしてグランド・ツアーの時代から19世紀という流れで絵画の流行を追える展示になっています。小品が多いですがモネ、ドガやルノアールの作品もあります。そして最後の作品がドーンと展示されているのがなかなかよかったです。


 それとミュージアム・ショップのコラボグッズの多さにはびっくり。〝ぐでたま〟とか〝コウぺんちゃん〟など予想外のコラボでした。音声ガイドは天海祐希さんなのでそれを聴きながらがお薦めです。ちなみに『メトロポリタン美術館展』は佐々木蔵之介さんでこれまた美声でいい感じです。どちらも事前予約制ですが、混んでなければ当日券を買えます。紙チケットはネット予約でも当日受付で言えばもらえます。