映画祭というとやはり、カンヌやベルリンの国際的な一大イベントが浮かびます。国内でも東京国際映画祭、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭あたりが有名ですね。国内ならチケットを購入して観に行く事ができて、しかも上映作品の関係者、つまり俳優や監督に間近で会えるかもしれないというのが素晴らしい。
しかしながら、まだこれらのメジャーなイベントにはちょっと二の足を踏んでいて行ったことはないのですが、数年前からちょっとローカルな〝SKIPシティ国際Dシネマ映画祭〟というのに友人が誘ってもらっています。映画祭というと何となく煌びやかで、レッドカーペットに報道陣も大勢いるイメージがあったのですが、それとはほど遠いかなりのんびりした雰囲気でこじんまりとした映画祭です。さらに場所も最寄りの川口駅から結構離れた施設で開催されています。コロナの影響で2年続けてオンライン上映だけでしたが、今年はついにスクリーン上映が復活したので、さっそく友人たちと参加しました。
普段着でふらりと行ける敷居の低いところがこの映画祭のいいところで、関係者も来日して上映後のアットホームな質疑応答もあり、とてもいい感じのイベントです。さすがに今回は来日が叶わず、そのかわりに事前に監督などにインタビューした映像が上映後に流されました。
この映画祭は「デジタルシネマ」にフォーカスして、まだそういうものが一般に浸透していなかった2004年に始まったものです。様々な地元企業も参入、協力しているところが手作り感があって親近感が沸きます。駅から無料の送迎バスが出ているので、遠くても行きやすいですし、コロナ前は会場の敷地内で映画とは別のイベントがあって、上映の合間も楽しめる工夫がされていました。残念ながら今年はそれもありませんでしたが。
何本も上映されるのを全部観るのはなかなか大変ですが、このオンライン配信という方法が導入されたことはむしろ良かったと思います。会場に行くにあたって天気も重要な問題で、実は毎回雨に降られてちょっと大変だったし、今年は晴天でしたが、それはそれで日差しがつらいという問題がありました。スクリーンで観て関係者のエピソードを聴く楽しみを取るか、温度調節のされた家の小さなパソコン画面で快適に鑑賞するか、という選択に悩むことになりますね。
今回観た2本はスウェーデンの『コメディ・クイーン』とフランス・ドイツ・チェコ合作のアニメ『ザ・クロッシング』でしたが、どちらもとても良い作品でした。これまでもここで上映されたうち1〜2本は毎年新宿武蔵野館あたりで公開されます。最近では『ルッツ 海に生きる』も2020年に映画祭で上映されたものです。スクリーン上映は7/24までで、オンライン配信は7/21〜7/27までです。