気ままに気になるところに足を運んで、欲求を満たすという趣味を書いていきます。
たいていの行き先は美術館・映画館なので、アウトドアと言えるけど楽しむ先はインドアです。
最近行ったのが、お気に入りの三菱一号館美術館。ここの中庭に腰掛けると、ちょっと英国に来た気分が味わえます。この日もウェディングカップルの撮影をしていました。何かの雑誌の撮影でしょうか。建物は1968年に老朽化のため一度解体され、2010年に復元されたので、歴史的価値は低いですが、この界隈が〝一丁倫敦〟と呼ばれていた時代を実物大で想像できます。
では、いよいよ会場へ。チケット売場以外にも無料ロッカーはあちこちにあるので身軽になってから、エレベーター前でチェックを受けて3階へ。私はいつも展示室に入る前にイヤホンガイド(有料)を借りて、場合によってはブランケットも。これは無料。
オープン当初、板張りの床がクラシックで落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりと鑑賞と思っていたら、実はこの床が曲者。靴によってはかなりの音がして、極力音を立てまいとすると作品鑑賞に集中できないというジレンマに陥ってしまうことがあったのですが、どうやらそういう声が多かったようで、床板にこだわっていた館長も意見を受け入れて、室内にはカーペットが敷かれ問題は解消されました。廊下はそのままなので、そのこだわりの床を味わえます。
さて、建物の話はこれくらいで今回の展覧会は『マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展』ですが、まったく知らなかった芸術家でした。告知を見る限り、服飾デザイナーの女性とばかり思って行ったら、ダ・ヴィンチ並みにマルチな活躍をしていたスペイン人でした。
ファッションでは、妻と作った100年経っても落ちない細かなプリーツの「デルフォス」というドレスが何点も展示されていました。
絵画も多く展示されていましたが、ワーグナーのオペラを観てから舞台美術に乗り出し、設計に装置や照明技術にまで革新的な発明をし、また布の染め付けや写真の黎明期に様々な技術を開発したマリアノのことをこの展覧会で初めて知ることができ、観に行って本当によかったです。
ピカソ、モディリアーニ、マティス、セザンヌらだけでなく、彼のような人物もベル・エポックの中にいたことで、音楽、演劇などの当時の様々な文化の新しい波をさらに大きくしていたのかなと思え、興味深かったです。
まだまだ知らないことがあるものですね。これからもこんな出会いがあればいいとつくづく思いました。