日本の伝統文化といえば、歌舞伎。鑑賞している人も多いかもしれません。でも〝能〟はどうでしょう? 同じ能舞台で演じられる狂言の方がわかりやすいので観た人は多いかもしれません。かくゆう私もそうです。ゆっくりした謡いのテンポで語られるので、なかなかついていけない気がしていました。


 そんな初心者向けにちょうどいいイベントが新春にあります。


 渋谷の松濤という閑静な住宅街にあった観世能楽堂が、2017年にGINZA SIXの地下3階に移築されたのをご存じですか?個人的にはブランドものに興味がないので、ここの蔦屋書店と屋上庭園以外に足を運んだことはないのですが、フライヤーを見つけて2年前に行くまで入ったことのない地下にある空間です。ここで新年2日に行われるのが「GINZA SIX 新春能」。短い時間ですが、無料で鑑賞できます。入れ替え制の3部構成で、観るには当日の朝配られる券を入手しなければいけません。一人1枚で友人の分もというわけにはいきませんし、座席もそれで決められています。新年早々早起きをしなくてはならないのですがちょっと大変です。



 もうひとつ、もう少し気軽に能を楽しめる空間が日本橋福徳神社と隣接した福徳の森のちょうど真下にあります。コロナウイルス禍で一時期閉じていたのですが、22年6月にリニューアルオープンした〝水戯庵〟というレストラン&バーで、能舞台があり、能だけでなく日本舞踊や神楽を見ながら食事ができます。


 このレストランがオープンした2018年から気になっていたのですが、さすがにちょっと敷居が高いなと思っているうちにクローズしてしまいました。金魚のアートアクアリウムの常設館が日本橋に登場したときに、その中に再登場していたのですが、ここで金魚を観て、食事しながら能も鑑賞するのはどうも落ち着かないし、料金的にも入場料にさらに払うのもなと思っていたらあっという間に閉館していました。何でもそのアートアクアリウムのオーナーがインバウンドを見据えて始めたのが〝水戯庵〟で金魚イベントからは手を引いたそうです。ちょうど期間限定の3人で行くと1人分無料というなかなかありがたい割引券を入手し、友人たちを誘って行ってきました。全体に和テイストですが、モダンなソファや椅子に照明器具にクッションとかなりお洒落で、でもあまり凝り過ぎていない雰囲気であまり緊張せずにいられる空間でした。


 イベント付きは夜の部だけでしたので、ちょっと奮発して鑑賞しました。その日は日舞でした。料理も美味しかったし、長崎の富貴楼から譲り受けた器が使われているそうです。


 たまにはこんな体験もおもしろいです。