2019年世田谷文学館で開催された『ヒグチユウコ展 CIRCUS』は気になっていたのですが、結局行かずじまいでした。それが今パワーアップした『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』として、森アーツセンターギャラリーで4/10まで!
積極的に行こうとなれなかったのは、ちょっとかわいいだけではない彼女の作風にあります。いわゆる〝キモかわいい〟という感じが二の足を踏む要因でした。でも推しのバンドの猫好きボーカルが『ギュスターヴ』というタイトルのネコの歌まで書いてしまうなら、ファンとしてはやっぱり元の〝ギュスターヴ〟に会わないわけにはいかないなぁと思っていましたときに、よく美術鑑賞に付き合ってくれる友人が誘ってくれ、ちょっとお化け屋敷にひとりではいけない心境だったので、それならと六本木まで行ってみました。ヒグチユウコは大人気なので、チケット取りが大変だったそう。よくぞ取ってくれたと思いました。
会場に入ってみると展示された作品の数の多さに圧倒されました。イラストなので小さいサイズが多く、それが目一杯展示されているので、よくあることですが最初のうちは列ができてなかなか進みません。さすがに後半は皆疲れてくるのかそういう列はなくなりました。
一枚一枚が緻密でこれだけの作品はどうやって生み出されたのだろうを思いましたが、最後に大きな一枚の作品を描き始めから仕上げるまでの映像を上映していたので、その秘密を知ることができました。これがまた驚いたことに下描きもなく、色も線画を部分的に描いたら一部を塗って、また線画を描いてという進め方で、これは出来上がりがすでに頭の中にあって、単にそれを実際に描き出していく作業なのかもしれないと思いました。
それにしてもなぜあんなに不思議な生き物を次々と生み出せるのか。あのギュスターヴだって、猫の身体で下半身はタコ、両腕(前足)はヘビですが、便宜上〝猫〟としています。発想が凄すぎます。立体版もあり、アニメーションも凝っていました。
でもそれより驚いたのは16世紀の奇想画家ヒエロニムス・ボスの作品を彼女の作風で描いた作品で、元のより細かかったかもしれません。宗教色を廃しているので気軽に楽しめます。風神雷神の屏風や、陶芸、それにGUCCIとのコラボにCDジャケットを手掛けた黒色すみれの曲も流れていました。様々な多彩な作品が並んでいて、初心者でも十分堪能できました。ただ、かなりクセがあるので苦手な人もいるでしょう。そういう方は、東京ミッドタウン日比谷で開催されている『江口寿史イラストレーション展「東京彼女」』(〜4/23まで)はいかがでしょう。かわいい女の子が目白押しです。