人類が〝時〟を視覚化してからこれまで、いかに正確に時を知ろうかとしたのか、そしてそれを表す道具の美しさを追求してきたのがわかる時計に関する2つの展覧会に行ってきました。まずは期間限定のハイ・ブランドであるPATEK PHILIPPEの『ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)』(〜6/25)。まったく縁のない世界のブランドですが〝推し〟がしているというだけで視界に入ったので、無料(一応事前予約制)のこのイベントが開催されている新宿住友ビル三角広場へ。そのエリアもまず行くことがないのですが、大きな樹々が多くて、新宿というのを忘れてしまうような場所でした。


 さて、そもそもブランド名は創業者の名前だと思っていたし、どこの国かも知らないままで会場に入ったのですがジュネーブにあるミュージアムを再現しているそうで、優雅な気分で座ることもできる雰囲気のある椅子もありました。



 最初が「クラフトマンルーム」で、展示してあった木象嵌のパーツの細かさに驚きました。どう見ても木屑にしか見えない一つ一つが小さな盤面に組み込まれて、絵になっているのですが人間技に思えないものでした。係の人に聞くと技術を継承していくために続けているのだそうです。何人かの職人さんが実演していて他のスゴ技も見ることができます。他に時計の中の構造を楽しめる映像や、最新のモデルの説明もしてもらえました。残念ながら盤面に書かれた文字や数字がすでによく見えないので値段もさることながら、その便利な機能は使えそうもなく、縁がないのがはっきりしました。まあ、腕時計を身に付けなくなって買うという対象ではなくなっていますが、アートとして鑑賞できて面白かったです。


 さて、一方日本でも時計といえばセイコーがあります。そこで銀座にあるセイコーミュージアムへも行ってみました。銀座の顔とも言える交差点の角に建つビルの裏手の路地に何度も通ったことがあるのに気がつかなかった細長いビルになります。



 ここではセイコーの歴史だけでなく、時計の歴史も学べます。日時計から始まって、水時計や様々な種類の世界中の時計が紹介されていて結構見応えがありました。またここでも細かいパーツにそれらを作り出した昔の機械もあって、日本で必死に西洋の技術に追いつき追い越そうとしていたのもよくわかりました。セイコーにも高級な製品もありますが、どちらかというと誰でも手に入れやすい価格で精巧な時計を追求している印象を受けました。こちらも事前予約制で無料です。