ここのところコロナ前と変わらないくらいに人々で溢れている銀座はハイブランドの店が並んでいます。個人的には買物目的でまず入ることのない敷居の高い〝グッチ銀座〟に先日ギャラリーがオープンしました。


 実はここ、ずいぶん前ですが小さな映画館シネマ ヴィジョナリーズがあって何度か観に行ったことがありました。劣化した「理由なき反抗」「甘い生活」などの名画を修復・復元し、次の世代に伝えていくことを目的として毎月1本ずつ上映する20席だけの完全予約制で無料の映画館だったのですが、いつの間にかなくなっていました。その空間をギャラリーにしたということでしょうか。


 柿落としの写真展『YUZURU HANYU: A JOURNEY BEYOND DREAMS featured by ELLE』(〜8/20※会期中無休)が開催されています。日時指定制で開始日の午前中に早くも埋まり始めていましたが、何とか土曜日の午後に予約できて行ってきました。GUCCIの店内を見る余裕もなく奥のエレベーターまでまっすぐ進み、上の会場に着くとまず入口で予約のQRコードの確認。最近はたいていのチケットが電子で表示なのでいい加減慣れなくてはと思うのですが、すぐに表示できずにあたふたしてしまいました。メールにあるアドレスから飛ぶとか、今回のようにLINEに表示されてるとか、それぞれ違うのでデジタルネイティブではない身としては、係の若い人たちの手を煩わせる羽目に。



 さて、気を散り直して全体見渡せるワンフロアの会場に目を移すと、プロに転向してからテレビで観ることがなくなった羽生結弦がスケートを履いていない姿で大きく写し出されたパネルがありました。競技ではない姿が新鮮でした。


 普段スポーツ観戦をまったくせず、オリンピックもほぼ興味がないのですがフィギュアスケートだけはテレビで観ていました。ロシアなどの選手よりアジア系の選手の活躍が目覚ましいなと思い始めた頃、どんどん注目されていった羽生結弦。彼がプロに転向して、フィギュアスケートをしている姿を観ることがなくなリましたが、これからはもっと世界が広がっていくのだろうなと思わせる写真と映像でした。トップを極めてさらに磨きをかけ続けるのは精神的にも肉体的にも大変なことでしょうが、そこに映し出された彼の表情は強く、そして穏やかな気がしました。大きなパネルの前に立ってじっくり観るのはいいものです。


 もうひとつのハイブランドのギャラリー、銀座メゾンエルメス・フォーラムへ。こちらは店とまったく別のところに直通のエレベーターがあるので気兼ねなく行けます。「『エマイユと身体」展』(〜9/17)7人のアーティストの陶芸作品ですが、想像を超え、概念を打ち破るオブジェに対峙できました。


 そして、ついでに京橋方面のPOLA MUSEUM ANNEXで還暦になってから筆をとった異色の経歴の人物の展覧会を鑑賞。『木村英輝 EXHIBITION―大人のストリートアート―』(〜7/30)。日本のロック黎明期よりプロデューサーとして活躍した人だそうで、これも力強い作品で観ているだけで、ちょっと元気になれるような感じでした。会場にはタイガースのメンバーや鶴瓶からの花もありました。



 銀座を歩いてちょっと暑さしのぎにギャラリーに立ち寄って、アートを眺めながら涼むのもおすすめです。