4年ぶりに各地で花火大会が再開され始めて、人出もすごいことになっています。これまでにない暑さで夕涼みという気温でもないなか、花火を観に行きたくなるのもわかりますが、私はさすがに足を運ぼうとは思わず隅田川の花火大会はテレビで観ました。その隅田川を検索したときに見つけ、気になったので日比谷公園内の端にある日比谷文化図書館まで行ってみました。
JR有楽町駅から歩くとかなり日差しを浴びながらになるので、今回は公園口まで地下道を使って園内に入ったので、それほど暑い思いをせずにすみました。今回の展示は東京都江戸東京博物館がソウル歴史博物館と共同で開催した国際交流展『隅田川-江戸時代の都市風景』のコンパクト版だそうです。(〜8/6)
「三社権現の由来」とか「梅若伝説」など隅田川にまつわる話が結構あってそれらが人気で浮世絵や読み物として広まっていったのを知ることができましたし、どれだけ隅田川など江戸の様々なところが名所として人気があったのかわかりました。
橋を架け替えたときの渡り初めは三代続く夫婦が行う習わしだったというのを浮世絵で知ることができました。いろんな行事が川の周辺で行われていたのですね。
花火のあがる夜の両国橋を中心に魚眼レンズで見たような三枚綴りの浮世絵は、橋の上の人物は米粒大で川には無数の船が浮かび、川岸にも店がぎっしりな様子が描かれて1枚だけしか買えなくとも楽しめる構図になっていますが、こういう題材を求める人が多いからこそ版画として成立していたわけで、たぶん世界中どこを探してもこの時代にこんな出版物が人々の間に出回っていた国はないと思います。しかもオールカラー。
江戸の人々はさまざまな娯楽を生み出して、それらの多くが絵や文章で残っているのは、あとで振り返るとか参加できなくてもそれで賑わいを楽しむ人がいかに多かったかということで、これはすごいことだなと思いました。
今回初めて〝影からくり絵〟という仕掛けのある絵をみました。窓などを切り抜いて薄い紙を貼り、裏から光を当てて明るくする技法で、これがとにかく細かい。画面に描かれた花火の線や障子は、揺らぐ蝋燭の火などで動きが加わり、ちょっとした動画のように楽しめたと思います。
美人画や役者絵だけでなく、こんなものまであった江戸時代の紙媒体。最後のコーナーにあった明治頃の陰影のある東京名所の版画より魅力的でした。
国芳や広重らの作品もありました。作者たちの技量ももちろん素晴らしいのですが、細かく観察するといろんな生活が見えるというのに気がつきました。屏風や巻物に細かく一人一人描き分けられた人物や風俗も初めて知った行事もあって、どんな時代でもみんな楽しみをつくり出してるのがわかって面白かったです。
世界中が平和に楽しみを追求していける世になってほしいものです。