ガウディの名前を初めて耳にしたのは確か建築学の授業で、熱く語る先生自ら撮影してきたガウディの建築物を映写機で次々と投影して説明してくれました。当然暗くなった教室は、ほぼ昼寝の時間になっていたので何やらウネウネとしたフォルムのおよそ建築物らしからぬ印象がぼんやりと記憶にあるだけでした。それが今ではガウディのサグラダ・ファミリアの建築に深く関わっている日本人彫刻家がいることもあってか関心が高く、多くの人が知っています。
未完ながら世界遺産になっているこの教会は、本人も生きている間に完成することはないと言っていましたが、技術の進歩の驚異的な速さによってあと数年で完成するようです。スペインに行くことはこの先もなさそうですが、今なら模型や資料から鑑賞できる展覧会が竹橋に来ています。これは行かないわけには行かないでしょう。
開催中の『ガウディとサグラダ・ファミリア展』(〜9/10、東京国立近代美術館)には始まって数日後の平日に行ったのですが、やはり関心が高く、あらゆる世代の観客で思ったより混んでいました。
ガウディはこの教会以外にも奇妙な建築物を多く残しているのですが、それが依頼された背景、とても熱心に研究していたことや彼自身のこともわかるとても内容の濃い展示でした。
現地へ行っても見ることのできない自然が手本だという彼が創り出した有機的なフォルムも彫刻も間近に観察でき、模型でじっくり内部構造を見ることもできます。建築物の設計に関する図面や写真も多く、観客は皆ゆっくり鑑賞していました。CGも使った建築の様子も上映していて見どころがいっぱいでした。
どうやら予想以上に大人気になって、休日など混雑しているので日時予約制になりました。でもそれが売り切れていても当日券は並んで買えるそうです。
そして、超おすすめなのが連動企画の『VRでよみがえるガウディ ~サグラダ・ファミリアの秘密~』(NHK放送博物館)です。15分間ですが、本当にガウディの工房や教会内にいるような体験ができて感動しました。1回につき6人までで当日開館時にその日のすべての券を配布。代表者が人数分確保することはできないので、実際に足を運ぶしかありません。私が友人と訪れたときは1時間半ほど後の回を予約することができました。その時間までは何しろここは博物館ですから、時間潰しに困ることはありませんでした。放送に関する展示物や古い番組の紹介などとてもおもしろかったし、チコちゃん人形を撮影したらシールがもらえました。VRも含めすべて無料です。ただし、注意点がひとつあります。ここは〝愛宕山〟にあるので、案内で一番近い神谷町駅を選ぶと急で長い階段を登る羽目になります。帰りに選んだ虎ノ門駅方面からだとスロープになっていて楽です。駅周辺の高層ビル郡は空中通路でつながって、まだ工事中の部分が多いですがかなり緑も多くてゆったりできました。行ったことのないエリアを訪れるのはいろいろ発見があって面白いです。