以前、角川武蔵野ミュージアムを訪れた時に次回予告にあって気になっていた『体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春』(〜11/20)。一人では淋しかったので、友人を誘って再び武蔵野の地へ行ってきました。



 この展覧会は〝体感型〟とあるように一般的な展覧会とは少し趣きが違っていました。まず、壁に映し出された映像でエジプト考古学者といえば吉村作治さんではなく、今や若手の河江肖剰さんが案内をしてくれて、いよいよ王家の墓のひとつに入っていくような演出で入口へ。まるで本当に発掘された空間に入るような造りの通路を進むと、壁の穴を覗いてツタンカーメンの墓を発見したカーターの気分を味わえるという仕掛けまでありました。その先に墓の番人に守られ、壁画に囲まれた石棺の部屋も再現されていました。そこを通り抜けると広い空間に巨大な厨子と人型棺がずらりと並んでいて、その見事な美しさはもちろんのこと、これまでテレビでよく見ていたのにやはり実物サイズを目の前にするとその大きさに圧倒されました。しかしながら、展示作品はすべてレプリカです。それらは世界に3セットしかない〝スーパーレプリカ〟だそう。最近の技術革新により美術展にレプリカが展示されるのはそう珍しくなくなっていますが、さすが超が付くだけあって迫力がありました。ガラスケースにも入っていないので、さすがに触れませんが造られた当時のピカピカな姿を間近に見て、その精密な技巧と堪能することができました。


 厨子と人型棺は3つづつ。それがマトリョーシカのように入子になるので、当然だんだん大きく造られています。一番外側になる厨子は高さが2mくらいありました。装飾もさることながら、これを見てはじめて重さについて思い至り、全部あわせた重量はどのくらいで、いったいどうやって墓に納めたのだろうという疑問が湧きました。ピラミッドの建築だけでなく、いろいろすごいことをやり遂げているのですね、古代のエジプトの人々は。


 この広間の3つの角にそれぞれ展示部屋がありました。そのひとつはヒエログリフについての解説パネルの展示なのですが、少し薄暗い部屋で各自が小型ペンライトで読みたいところに光を充てるという趣向がまるで、洞窟の中で探っているような感覚を味わえてとても面白かったです。この方法だと単なる解説文もより熱心に読むことになります。


 このほかに連動企画『神秘のミステリー!文明の謎に迫る 古代エジプトの教科書』にも行ったみたのですが、当時のことについて様々なことがわかりやすく解説され、またクイズやゲームもがあり、大人も子どもも楽しめるものでした。こういうのも気軽にちょっと知識が増えていいなと思いました。