この間ポンペイ展がありましたが、今度はローマです。イタリアという国にある街はミラノとかヴェネティアとかそれぞれ全然違う印象ですが、やはり長くそれぞれの国として栄えていった歴史によるものでしょう。
その中でもローマは首都なのにコロッセオなどの遺跡が街中にあるというのがすごいです。東京にある大きな遺跡は江戸城の石垣くらいだと思うのですが、ローマは規模が違いますね。
今では何本か地下鉄が通っていますが、展覧会の説明にも書かれているようにとにかくちょっと掘ったら、必ず遺跡が出てくるようなところで、それでも紀元前から人々が住み続けている魅力がある街ということでしょう。
それにしてもとんでもなく巨大な彫像や建物が発掘されるのは驚きです。常に人々が街を造り、破壊し、またその上に築くということが繰り返されてきたということはどんどん地面が高くなっているということなんでしょうか?
そんなローマを知ることができるのが東京都美術館で開催中の『永遠の都ローマ展』(〜12/10)。初めて知った世界的にもっとも歴史の古い美術館のひとつカピトリーノ美術館からきたたくさんの彫刻を楽しむことができます。
さて、会場に入るといきなりローマ建国神話が題材となっている〝カピトリーノの牝狼(複製)〟が立ち塞がるようにあります。それから犬や猪のリアルな彫刻が続き、歴代の皇帝や当時の女性の頭部がたくさん並んでいました。古代エジプト展でそれまで美化された像ではなく、リアルな姿を残したツタンカーメンの父親・アクエンアテンのようにローマの人々も割とありのままの姿を残したようです。怯えたような老女像など、まるでメドゥーサによって瞬間的に石にされたようにリアルでした。また美術室に大抵あった胸像の原型はさすがに細かくて髪や皮膚の様子もわかるでした。〝トラヤヌス帝記念柱〟は残されていた一部の複製はとても細かな彫刻が螺旋に施されていて、どうやって高い塔にできたのだろうと思いました。なんでこんな巨大な像を造ったのだろうと思うほどの皇帝の頭部や足も、全体を想像するのが難しい人のためにこんな感じだっただろうという図はありました。鎌倉の大仏くらいでしょうか。顔が結構迫力あって怖いですが、睨みをきかせていたのかもしれません。
今回目玉の門外不出の〝カピトリーノのヴィーナス〟はそれだけの空間に置かれているので、ぐるりと回って鑑賞できました。これは東京展のみの展示だそうです。