コロナ禍で美術展の多くは、時間指定券を購入するというシステムが定着しつつあり、割引の前売券というものがなくなり、記念になる紙チケットを手にふらりと気分ののった日に出向くことができなくなってしまいました。


 ただ、ものすごく混んで、人の頭越しに作品を見なければいけないとか、その1点だけさらに並ばなければならないということがなくなったのはよかったですが、うっかりすると完売で入場すらできないことがあるので悩ましいです。


 割引がないのはいいとして、これから開催される中には土日料金が平日より高くなるというのも見受けられるのが気になります。


 それでも最近はさまざまな工夫がされています。よくあるのが記念撮影できる展覧会のイメージパネルですが、もっと進化したおまけの楽しみが設置されていることがあります。




 例えば『怖い絵展』は記念撮影パネルでしたが、鏡をバックに描かれた女性の作品の鏡を本物にして、前に立つとそこに自分が写るという仕掛けで絵の中に入り込むことができました。




『ウィーン・モダン展』ではQRコードで読み込んだ特設サイトに展示されていた婦人服が表示され、その画面に顔はめパネルのように自分の頭部を入れた写真が撮れましたし、『アルチンボルド展』では凝った額縁の鏡に自分を映すと彼の作品と同じように野菜で構成された顔になるという最新の技術が使われたものもありました。





 さらに『ミラクル・エッシャー展』では彼の歪んだ不思議な世界に入り込んで階段を上り下りし、『バベルの塔展』は別会場に設置された〝立体バベルの塔〟に自分の顔をした人物が動き回るのを見ることができました。実物の絵はかなり小さくとても細かく描かれていますが、3次元の塔はいろんな角度から見ることができたのがおもしろかったです。ちなみにこの塔は無料で鑑賞できる太っ腹な企画でした。






 展覧会も学芸員たちにより興味深い企画や斬新な切り口で展示しているものが多いうえ、こういう遊びがあったりするのでスマホをロッカーに入れてしまうのは禁物です。