明治神宮は2020年11月1日に創建100年を迎えるそうです。この若者が多く集うエリアにある広大な森が、人工的に造られたことを知ったのは大人になってからで、学生時代に友人たちと初詣に来た時、原宿にこんなところが残っていたのかと思いましたが、まさか昔は荒地だったとは。植えられた樹木は日本中の一般の人々からの寄付で、多くのボランティアが全国からそれを運んだとは驚きです。あの日比谷公園の設計にあたった本多静六などの専門家たちによって始まった造成計画は4つの段階を経て、森を人手を介さずに自ら世代交代できる「天然林相」になるよう100年後の森を想定したという話を聞いて、遥か未来の予想図を示した先人の仕事には感服しかありません。
さて、その記念の今年「神宮の杜 芸術祝祭」と銘打ってさまざまなイベントを展開中です。(来年3月末まで)
その行事のひとつ『天空海闊』という森を舞台にした野外彫刻展が12月13日まで開催されています。4人のアーティストがここを訪れて創作した作品が展示されていて、広い敷地を散策しながら探し歩くのはとても気持ちいいです。木々によって車の音は聞こえず、虫の声がうるさいほどでした。
以前は現代アートをどう鑑賞すればいいのかわからなかったのですが、堅苦しいことは考えずに自由勝手に想像したり、感想を述べていいというのを聞いて、わりと気軽に行けるようになりました。こういう野外展覧会だと周りの木々や太陽の光で、いろんな見かたができるし、入ったことのないエリアにも行けるのがいいです。
今後も茶会や子供向けのワークショップ、来年には宝物殿で『気韻生動〜平櫛田中から名和晃平まで』という彫刻展などが開催されるそうなので、また冬に行こうと思います。
もうひとつのおすすめが昨年再建された明治神宮ミュージアムです。9月27日まで「紫幹翠葉−百年の杜のアート」が開催されていますが、明治神宮の1年間の行事を写真・映像・模型・装束などで、簡潔かつ、ゆっくり季節を追えるように洒落た展示がされている常設もいいです。特に「明治天皇御大喪儀 鹵簿 模型」の小さな人形はどれも少しづつ違っていて、ざわめきが聴こえてきそうで見入ってしまいます。2階には「六頭曳装車」や明治天皇ゆかりの品の展示や明治神宮の美しい映像が前面だけでなく側面にも映し出される小部屋では神宮の杜の四季を楽しめます。
今なら節目の100年目に立ち会えるという特別感があるのがいいです。