最近、洋楽を聴くより〝鑑賞する〟という面白い展示が増えています。
久々の新譜を発表した直後に亡くなったデヴィッド・ボウイの大回顧展『David Bowie is』が2017年、生きていれば70歳の誕生日から日本で開催されました。2013年ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館から始まり、世界9ヵ国を巡回して全世界で160万人以上を動員し、ついにアジアでは唯一の開催国・日本上陸となったわけです。この展覧会の様子はドキュメンタリー映画として公開されました。ロンドンの大回顧展最終日の様子と関わった人々へのインタビューで構成されていて、これを観たときぜひ日本でもやってほしいと思ったので開催はとても嬉しかったですが、まさかボウイが亡くなってしまうとは思ってもいませんでした。
額に星を描いて山本寛斎の衣装を身に着けていたグラム・ロック時代の動いているボウイの姿は、まだ洋楽にかぶれる前で観たことがなく、MTV全盛期の『レッツ・ダンス』からしか知らなかったので、彼に関するあらゆるものをさまざまな側面から展示していた会場には圧倒されました。
60点以上にのぼるステージ衣装、手書きの歌詞、映像や写真に本人が描いた絵画など、膨大な情報量をなんとか受け止めながらでなかなか前に進めず、結局4時間もかかって同行してくれた友人たちを2時間以上待たせてしまいました。でも彼の活躍した軌跡を改めて再体験できたので、本当に観に行けてよかったです。好きなミュージシャンを違う角度から見るのはちょっとタイムマシンで時代を遡った感覚かもしれません。とても面白い体験でした。
2019年には『Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展』が大好評で会期延長され、今年は誰もが聴いたことのある曲の作者ジョン・レノンの世界初の展覧会となる『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』が来年1月11日までソニーミュージック六本木ミュージアムで開催中です。2人の出会いとなったヨーコのアート作品が再現展示されているそうなので、音楽ファンだけでなく現代アートファンも注目している展覧会です。