■ステムから知る開発傾向
24年度に国内で承認されたNMEs46品目のうち、がん領域の薬は19品目(41.3%)だった。その内訳は、低分子の分子標的薬が11品目に対し、抗体医薬が8品目。販売名の話題とは異なるが、一般名のステムで分類すると〈上図〉、二重特異性モノクローナル抗体が4品目、抗体薬物複合体3品目と、“新規の”モダリティとされてきたものも珍しくなくなってきたことがわかる。
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新薬を処方・調剤する立場なら、類薬との使い分け、副作用、費用対効果など気になることはいくらでもある。一般消費財と異なり、(特に医療用)医薬品は名前のセンスで売れるわけではない。逆に、最初は耳慣れなくても、評価され広く使われることで名前が定着することも多いだろう。それでも、『医薬品インタビューフォーム』の「名称の由来」を見ると、その薬への興味がわいてくる。FDAやEMAの書類には見当たらないこの項目。作成者にとっては少し面倒かもしれないが、読む者には小さな楽しみでもある。
※24年度に国内承認されたNMEsや、24年のFDAおよびEMAによる承認については、『Medical Issues』の過去記事をご参照ください。
2025年4月24日現在の情報に基づき作成
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本島玲子(もとじまれいこ)
「自分の常識は他人の非常識(かもしれない)」を肝に銘じ、ムズカシイ専門分野の内容を整理して伝えることを旨とする。
医学・医療ライター、編集者。薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師。